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個人事業主が支払う税金は主に4つ。所得税、住民税、個人事業税、消費税を解説!

【法人税】知っておきたい基本 種類から計算方法まで解説

公開日:2019年02月14日
最終更新日:2019年02月14日
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法人の義務として必ず支払わなくてはならない法人税。詳しい内容を知らずに払っている方は多いのでは。そこで、種類から計算方法まで解説します。法人税の基本を理解して、決算時や節税のヒントに役立てましょう。

法人税とは

法人税はご存知のとおり国税です。消費税や所得税と並ぶ重要な税金です。法人が得た利益に対してかかります。個人が利益を得た時にかかる所得税と同じようなものです。

法人税は、納税者と税を負担する担税者が同じ直接税。消費税は、納税者と担税者が異なるので間接税となります。

法人税の種類と違い

法人税は会社の形態によって種類が変わります。

各事業年度の所得に対する法人税

一般的な法人税を指す、各事業年度の所得に対する法人税。一事業年度において法人が得た所得に対して課される税金です。事業年度は、各法人が定款などで定めている会計期間と同一の期間です。

各連結事業年度連結所得に対する法人税

企業グループを1つの納税単位とする連結納税制度で計算する法人税のこと。各事業年度の所得に対する法人税に代わって課される税金です。

どちらの法人税を適用するか、各法人で自由に決められます。各連結事業年度の連結所得に対する法人税を選んだ場合は、すべての子会社が対象となります。申告と納税は親会社で、連結所得の個別帰属額などを記載した書類は子会社が税務署に提出します。

特定信託の各計算期間の所得に対する法人税

おもに信託会社を対象に特定の信託を運用している場合に課される税金です。

退職年金等積立金に対する法人税

退職年金業務などを営む信託会社や保険会社などに課される税金です。

法人が従業員の退職年金として払込んだ掛け金は、その年度に信託会社や保険会社で計上されます。しかし、実際に課税されるのは従業員が退職して年金の受け取り時になります。退職年金等積立に対する法人税は、このタイミングのずれに対して課せられる税金のことです。

法人税が課税される法人と課税されない法人

法人と言えども種類はさまざまで、特性や目的によって所得税が課税される法人とされない法人に大別されます。

課税対象になる

普通法人

株式会社や有限会社、合資会社などです。本拠地が日本の場合は国内で得た所得はもちろんのこと、海外にある支店の所得も法人税の納税義務が発生します。

普通法人に対して、原則としてすべての所得に法人税が課されます。期末資本金が1億円以下の場合は、税率が軽減されます。

株式会社・有限会社・合名会社・合資会社・医療法人・相互会社・企業組合・労働組合・管理組合・日本銀行

協同組合等

税率は風津法人より軽減されています。

農業協同組合・信用金庫・労働者協同組合・漁業協同組合・生活協同組合など

課税対象にならない

公益法人等

営利目的ではない法人のこと。祭祀、宗教、慈善、学術、技芸など交易の身を目的としている法人です。そのため、原則的には法人税は非課税ですが、収益事業を行って収益が発生した場合は課税対象となります。

社団法人・財団法人・宗教法人・学校法人・社会福祉法人など

人格のない社団等

PTAや実行委員会・同窓会などのこと。営利を目的としないので、原則的に法人税は非課税。

国・地方公共団体などからの交付金には法人税はかかりませんが、収益事業を行って得た収益は課税の対象となります。

公共法人

国や地方教協団体が運営する法人。法人税は非課税です。

地方公共団体・国民金融公庫・住宅整備公団・都市整備公団・住宅金融公庫・日本道路公団・国立大学法人・日本放送協会など

法人税の計算方法

法人税は会社の所得に対して課税されます。所得は「益金-損金」の計算で求めます。益金・損金は会計上の収益や費用をベースに、法人税の税法に則った細かい調整をして算出します。

計算した課税対象となる所得(課税所得)に対して、所定の税率をかけて控除額など差し引いたものが法人税額となります。

法人税額=課税所得×法人税率-控除額

法人税率

法人税の税率は一律ではなく、種類や規模によって違います。

普通法人

年間所得800万円以下の部分 19%

年間所得800万円超の部分  19%

協同組合等

年間所得800万円以下の部分  19%

年間所得800万円超の部分   19%

公益法人等(収益事業有)

年間所得800万円以下の部分  19%

年間所得800万円超の部分   19%

人格のない社団等(収益事業有)

年間所得800万円以下の部分……19%
年間所得800万円超の部分……23.2%

法人税の税率見直しで変わったこと

2015年度から課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げるという考えのもと、法人課税の負担をより広く分かち合う構造改革が進みました。

どんなに事業が好調で多くの所得が生まれても、法人税の税率は最高で23.2%となっています。

納付の方法

納付の流れ

決算手続き→法人税の申告書作成・提出→納付

法人税の納付期限は事業年度が終了した日の翌日から2カ月以内。具体的には、会計年度が4月1日から3月31日の場合は、5月31日までとなります。納付期限が過ぎるとペナルティが課されますので、注意が必要です。

法人税の納付には、3種類方法がありますので、効率の良い方法を選んで納付しましょう。

1 納付書を添えて現金納付

金融機関や所轄の税務署、またはコンビニエンスストアで納付できます。

コンビニエンスストアで納付する場合は、税額が30万円以下のみです。またバーコード付きの納付書のみ対応となります。

2 電子納税

e-Taxによる操作で指定口座から納付できるダイレクト納付やインターネットバンキングなどの納付方法です。

注意したいのは、ダイレクト納付は指定口座を登録して利用できるまで1カ月ほどかかること、e-Taxの利用時間が平日8:30~24:00までと限られていることがあげられます。

3 クレジットカード

国税クレジットカードお支払サイトからクレジットカードで納付できます。利用可能金額は、1度の手続きで1千万円未満、かつ利用するクレジットカードの決済可能額までの金額です。

クレジットカード納付のメリットは、24時間ネットからいつでも納付できることです。法人カードを利用すれば、カード利用明細でお金の流れを把握できるため、経理処理の負担が軽減されます。またキャッシュフローの改善にも役立ちます。

申告期限の延長は可能。納付期限は厳守

法人税の納付で一番重要なのは、納付期日。決算日から2か月の間に書類の提出や納税ができなかった場合、無申告加算税や重加算税、延滞税といった加算税が課せられます。また、青色申告の承認が取り消される場合も。

確定申告期限を延長することができますので、万が一の場合は延長も視野にいれ、期限を守って納付しましょう。延長の際は、「定款で株主総会が決算日から3ヶ月以内と定められている」、「決算日の翌日から45日以内に延長手続を行っている」の2点を満たす必要がありますが、定款を変更することもできます。

基本を押さえてしっかりと

複雑で分かりにくい印象がありますが、基本を押さえれば、それほど難しくはありません。課税される法人と課税されない法人、種類と規模によって変わる税率など基本を覚えておきましょう。

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