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個人事業主(自営業)とは?個人事業主の職種、年収、税金、年金について

個人事業主(自営業)とは?個人事業主の職種、年収、税金、年金について

公開日:2018年01月16日
最終更新日:2018年04月09日
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個人事業主とは、株式会社などの法人を作らず、自らが事業を行う場合をいいます。分かりやすく、「自営業」「フリーランス」など名乗ることが多いでしょう。個人で事業をするといっても、一人で事業をしているとは限らず、家族や少数の従業員を雇う小規模経営が一般的です。

また、〇〇商店や〇〇事務所といった名前を見かけますが、このような屋号(お店の名前)の多くが個人事業主です。チェーン展開していない飲食店や美容院なども、ほとんどが個人事業で行っています。また、フリーランスでWebデザイナーやプログラマーをしている、法人化せずに農業や漁業をしているなどの場合も個人事業主です。

個人事業主の職種や税金などを詳しくみていく前に、個人事業主になるとどんなメリットがあるのか、またデメリットがあるのかみていきましょう。

個人事業主のメリット

自分のしたいようにできる

会社員の場合、社内で上司や上層部から承認を得られなければ、仕事内容の変更や改善をしたり、希望する部署に異動したりすることができません。その点、個人事業主であれば、自分のしたいようにできます。予算や人員など自分で決めることができますし、会社への報告や会議などに時間をとられることもなく、自分のしたいことにすぐに取り組めて、集中できます。

働く時間や場所がフリー

個人事業主であれば、仕事場所や労働時間を自分でコントロールできます。例えば、プライベートの予定に合わせて、時間や場所を選んで仕事ができるのです。リモートワークやノマドも可能です。また、都合に合わせて休業にできるので、旅行なども好きな時に好きな期間行くこともできます。

付き合いや仕事を選えらんで、断ることができる

会社員だと、上司や先輩から指示された仕事や付き合いを断るのは、なかなか難しいものです。しかし個人事業主は、付き合いや仕事を自分で選んで判断できます。余計な付き合いなどをしたくなければ、一切する必要はないのです。その分、お金や時間を自分の有益なことに使うことができます。また、先の予定も見ながら仕事を選べるので、仕事とプライベートのバランスを取りやすくなるでしょう。

節税できる

個人事業主は、事業に使った費用は経費になるため、納める税金を少なくすることができます。また、国民年金基金や小規模企業共済などに加入することも節税につながり、さらに将来受け取る年金を増やすことができます。

個人事業主のデメリット

収入のリスク

個人事業主は毎月の収入ベースで考えると、決まってあるとは限りません。自分の報酬は自ら稼ぐ以外ないからです。特に起業してやっていくには、立ち上げ当初にいかに収入を確保するか、得意先を確保できるかがカギとなります。そのためには、独立前に取引先の開拓や資金の準備を念入りにしておくことが重要。収入の目途が立てば、事業の目途も立てやすくなります。また、不景気の時にどう収入を確保できるかが、事業を長く続けていく大事なポイントとなるでしょう。そのほかに有給休暇や失業保険がないので、病気などで仕事ができなくなった時の保険に入るなどの対応が必要となります。

仕事内容が多岐にわたる

会社員は、担当の仕事以外は経費に関して、年末調整で保険や医療費など申告するだけでしたが、個人事業主は毎月の売上や経費などの経理処理、取引先開拓などの営業業務、製品やサービスなどの企画開発業務など、さまざまな業務をこなさなくてはなりません。ただし費用はかかりますが、こうした業務をアウトソーシングすることも可能です。

自己管理が難しい

個人事業主は働く時間や場所など全て自由に決めることができますが、目の前の誘惑に流されやすいというデメリットがあります。例えば、自宅で仕事をしていると、ついテレビを見てしまったり、長く休憩してしまったりと、仕事以外の誘惑に流されやすくなります。したいようにできる分、自分で自分をコントロールすることが重要です。しかし、自己管理が苦手な人は、個人事業ができないというわけではありません。自宅以外で仕事をしたり、誰かと一緒に仕事をしたりすると、自制心が働きやすくなり、仕事に集中しやすくなります。

個人事業主にはメリットがあればデメリットもあります。どちらの面も把握しておきましょう。それでは、職種や年収、税金について詳しくみていきます。

個人事業主の主な職種

個人事業主は個人で行っている事業全般なので、多くの職種があります。

  • ラーメン屋、カフェ、バーなどの飲食業
  • 洋服店、雑貨店、酒屋、米屋、八百屋、肉屋などの小売業
  • 洋服、小物などのネット通販
  • 美容師
  • ネイルサロンやエステ
  • 料理、ピアノ、そろばん、KUMONなどの各種スクール
  • 整骨院、接骨院、マッサージ
  • 大工、左官、電気工事、水道工事、整備士などのガテン系
  • 司会、講師、カウンセラー、コンサルタント
  • 設計士、建築士
  • webデザイナー、プログラマー
  • イラストレーター、ライター
  • アフィリエイター
  • 家主
  • 税理士、行政書士、司法書士などの士業
  • 陶芸家、漆職人などの伝統工芸
  • 農業、漁業、酪農業、林業などの農林水産業
  • デイトレーダーなどの投資家

個人事業主の税金と年収

次に自営業の税金や年収について見てみましょう。

個人事業主が支払う税金は、所得税、住民税、個人事業税、消費税の主に4つになります。この中の所得税は申告が必要です。所得税は、所得に応じて税金が決まる累進課税のため、所得(利益)が多くなればなるほど所得税が高くなります。なお、法人は法人税となり、個人事業主とは異なります。所得税の税率について詳しく見てみましょう。

(課税)所得 税率
195万円以下 5%
195万円超~330万円以下 10%
330万円超~695万円以下 20%
695万円超~900万円以下 23%
900万円超~1800万円以下 33%
1800万円超~4000万円以下 40%
4000万円超 45%

収入から経費や控除を引いた所得が1,800万円以上ある場合、税率は40%以上。さらに住民税が所得の10%かかるので、高額所得者は収入の半分が税金となります。また、売上が1000万を超えると消費税の負担が発生します。

そのため、会社を設立して法人化するのが一般的です。これを法人成りといいます。注意したいのは、所得税は売上にかかるのではなく、売上から経費や控除を引いた所得(利益)にかかります。経費をしっかり計上して税金を少なくしましょう。

個人事業主の年金や保険について

個人事業主の年金や保険について見てみましょう。分かりやすくするために、会社員と個人事業主の主な違いを一覧にしました。

社会保険の種類 会社員 個人事業主
社会保険 保険料 社会保険 保険料
健康保険 健康保険 会社と本人が折半 国民健康保険 全額自己負担
公的年金 国民年金+厚生年金 会社と本人が折半 国民年金 全額自己負担
雇用保険 会社と本人が折半 加入できない
労災保険 会社が全額負担 加入できない

会社員と個人事業主の主な違いは、保険料が全額自己負担か否かという点です。

年金に注目してみましょう。会社員の場合、国民年金に加え、厚生年金にも加入しているため、将来受け取る年金は個人事業主より多くなります。しかし、保険料の金額は、会社と折半とはいえ個人事業主より高くなります。

国民年金の年金だけでは老後の生活に不安を感じるでしょう。国民年金に加え、国民年金基金や小規模企業共済などに加入して、備えることができます。また、国民年金基金や小規模企業共済は、所得の控除対象になるのでおすすめです。

ただし、誰かから勧められるわけではないので、自分で調べて手続きをしなくてはなりません。確定申告もそうですが、積極的に情報を取りに行くことが求められます。

その他の主な違いに、雇用保険や労災保険に加入できないことがあげられます。理解しておきたいのは、雇用保険や労災保険は労働者を守るための保険ですが、個人事業主は労働者ではなく経営者となるため、加入できないということです。

このように年金や保険は、会社員と比べて不利に感じますが、月々の支払いは会社員に比べて少なくなり、年金や保険で不安があれば、自分で加入することもできます。

これらのように個人事業主になる、起業するには様々な知識が必要となります。メリット、デメリットを理解したうえで準備を進めていきましょう。

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