【法人税】仕組みや計算方法を解説
公開日:2019年10月02日
最終更新日:2019年10月02日
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経営者にとって税金を納めることは重要なことの一つです。法人税もそうですね。その年の利益に税率を掛ければいいというものではありません。今回は法人税の計算を正しく算出するために、仕組みや計算方法などを解説します。
法人税の計算の仕組み
法人税の計算式は、(課税)所得×税率になります。計算式自体はいたってシンプルですが、その内容は実は複雑です。
1 (課税)所得
法人の計算をする場合、利益と所得の違いを知っておく必要があります。
・利益
利益とは会社の儲けのことです。その月や年の経営状況を判断する指標になります。日々の売上などの収益から仕入れや経費などの費用を差し引いたものが利益です。
・所得
所得は税金の計算の基になります。税法で、税金を計算する上での収益を「益金」、費用を「損金」と表します。所得は益金から損金を引いたものです。
2 税率
所得の金額に税率を掛けて法人税の金額を算出します。法人税の税率は、会社の規模やその年の所得金額によってかわります。
益金について
税法上の益金についてみていきましょう。益金になるものとならないものがあります。
益金になるもの
商品の販売やサービスの提供をして、現金などを受け取った場合、税法上の益金になります。固定資産の売却、預金利息の受取などもおなじく益金になります。また、無償で商品を提供したり、サービスを提供したりした場合も益金に該当します。税金を計算する際、帳簿に記載がない場合はその分を所得に参入する必要があります。
益金にならないもの
・受取配当金
他社の株式を所有している場合、配当金を受け取ることがあります。配当金は受取配当金として収益に計上します。しかし、配当金を支払う会社は、法人税などの税金を支払った後の利益から配当金を支出しているので、受取る側も税金を課してしまうと二重課税となるため、益金にしません。
・税金の還付
法人税や法人住民税の予定納税などで、払い過ぎた税金の還付を受ける場合があります。これも益金にはなりません。ただし、事業税や固定資産税など損金になる税金が還付された場合は、益金になります。
損金について
損金になるもの
損金になるものは「費用」になるものと同じです。主に3つあります。
・原価
仕入れや材料費など、売上に直接関係する原価は、売上を得るために必要不可欠なので損金になります。
・販売費・一般管理費・その他費用
売上に間接的に関係する費用。人件費や水道光熱費、事務用品費、地代家賃など販売や一般管理費に該当します。こちらも売上を得るために必要不可欠なので損金になります。
・損失
固定資産を売却した際の損や、商品が陳腐化した場合の廃棄損など、売上に関係しないが事業を行う上で発生しうる損失は、損金となります。
損金にならないもの
企業が支出する費用は事業にとって必要なものですが、一定のルールを設けないと経営者の裁量や利益のだいしょうで変わってくる可能性があります。そのため、一定のルールを定めて、損金に認められないものもあります。
・役員報酬・役員賞与
役員報酬や役員賞与のうち、低軌道額給与や事前確定給与については損金になります。
・一定の金額を超える寄付金
寄付は企業の社会貢献のために必要となります。しかし、無制限に損金としてしまうと租税回避に利用されかねないので、限度額を超える分については損金になりません。
・減価償却費の過大分
固定資産を購入すると、その取得価格から毎年少しずつ損金にしていきます。損金にする計算方法合定められているため、限度額より過大に費用とした分は損金になりません。
・その他
同業種、同規模の会社に比べ明らかに金額がおおいものは、損金になりません。例えば役員や家族の給料などになります。
法人税の計算は利益ではなく、所得で計算します。その所得を計算するために、益金や損金について理解しておかなくてはなりません。その時の社会情勢などで税法の規定が変わるものもありますが、考え方は基本的に変わりません。まずその基本の考え方を身につけてましょう。