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【RE100】再生可能エネルギー100%を目指す企業経営

公開日:2018年12月05日
最終更新日:2018年12月12日
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RE100とは、事業で使う電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標にしている企業が参加する国際的な企業連合のことです。2014年に「Renewable Energy 100%」の頭文字をとって「RE100」を発足しました。2018年9月10日時点で、世界全体で140社以上が加盟。この144社にはネスレ・イケア・NIKEなど、日本企業では、リコー・積水ハウス・アスクル・大和ハウス・ワタミ・イオン・エンビプロホールディングス・富士通・丸井グループ・城南信用金庫・ソニーが加盟しています。
100%再生可能エネルギーで賄うのは、難しいのではと思われるかもしれません。日本では電力事業者によって差はあるものの、大半の電力は天然ガスや石炭などの化石燃料です。化石燃料の削減には再生可能エネルギーより原子力よりです。再生可能エネルギーを推進しようという勢いは、強くありません。

一見実現不可能に思える「100%再生可能エネルギーでの事業運営」を実現させようとしているのがRE100です。電力を再生可能エネルギーに切り替えることで、二酸化炭素の排出量を減らし、低炭素社会の実現を目指しています。RE100の加盟企業には、「事業電力を100%再生可能エネルギーにする」という公約が求められます。それでもRE100に加盟する企業は増え続け、今日では欧米にとどまらず、中国やインドの企業にも拡大しています。

RE100プロジェクトの経緯

RE100は、国際環境NGOのThe Climate Group(TCG)が2014年に開始ししました。TCGは2004年に、当時の英国ブレア首相の支援を受け、ロンドンに設立。TCGは現在ではイギリスの他、アメリカ・インド・中国・香港などに支部を置き、世界中の企業や州政府、市政府が参画しています。TCGが、国連総会の時期に合わせて毎年9月に年次報告会「Climate Week NYC」を開催しています。そして2014年の「Climate Week NYC」の中で、RE100が発足しました。それ以降、Climate Week NYCのイベントは、参加企業がRE100への新規参入を表明する場にもなっています。

RE100の参加条件

RE100には、現在140社以上が加盟しています。この数は年々増加。RE100に加盟するには次のような要件があります。

再生可能エネルギー100%に向けた宣言

RE100プロジェクトに加盟するには、事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーにする宣言しなければなりません。多くの現加盟企業は、同時に100%達成の年を宣言しています。100%達成は、企業単位での達成が要求され、世界各地に事業所等がある企業は、全事業所で100%を達成しなければなりません。「再生可能エネルギー」は、原子力発電以外の水力、太陽光、風力、地熱、バイオマスを指します。

100%達成に向けて2つのオプション

(1)自社施設内や他の施設で再生可能エネルギー電力を自ら発電する
  自社の再生可能エネルギー発電所で発電された電力の消費は、電力系統に連系有無は問われません。
(2)市場で発電事業者または仲介供給者から再生可能エネルギー電力を購入する
  再生可能エネルギー電力の購入は、再生可能エネルギー発電所との電力購入契約(PPA)、電力事業者とのグリーン電力商品契約、グリーン電力証書の購入のどの方法でも可能です。

毎年の報告書提出

2つ目は、報告書での進捗報告です。RE100の加盟企業は、毎年「CDP気候変動」の報告書を作成し、進捗状況をRE100事務局に提出します。また、報告書に記載する再生可能エネルギー電力発電や消費の情報は、第三者監査を受けること。報告された情報は、RE100のホームページや年次報告書の中で公開されます。

それぞれの動向

加盟企業の本社所在地で国別集計すると、米国が50社、次いでイギリスが27社です。日本企業は現在11社。世界第3位となりました。その他、スイス・オランダ・北欧諸国の企業が続きます。欧米日以外では中国、インド、シンガポール、台湾の企業が8社です。
このように、業界や地域を超えて拡大を見せるRE100。各加盟企業は目標を設定し、再生可能エネルギーでの事業達成に向けて取り組んでいます。しかし、企業は完全に自由に電力目標を設定できるわけではありません。その企業が事業所を置く国や地域のエネルギー政策が大きく影響しているからです。再生可能エネルギーの活用や二酸化炭素排出量の削減は、各国政府がそれぞれの自主目標を定めています。それにより再生可能エネルギー調達の難易度が変わってきます。そのため、工場やデータセンターなどの設置国検討においても、再生可能エネルギーを利用しやすい国を敢えて選定するということも実施され始めています。

日本企業への示唆

実際多くの日本企業が、エネルギーや電力は自らのことではなく、電力会社のことだと捉えられています。電力会社から電力を購入するのが普通のオペレーションであり、電源構成は契約している電力会社の電源構成比に従うという考え方です。日本の電力事業者は、化石燃料メインの電源であり、再生可能エネルギー割合は数%から十数%程度。この状況下で、企業自身が「再生可能エネルギー100%」を掲げるのは理想論で、企業経営の範疇ではないと考えるのは普通でしょう。

しかし海外は違います。欧米では先んじて電力小売事業が自由化されたので、企業は電力会社をいち早く選択できる立場となりました。それによって、再生可能エネルギーで100%発電を行う電力事業者や、再生可能エネルギー発電所からの電力のみを「グリーン電力証書」という形で販売が一般的です。また、再生可能エネルギー推進のFIT制度や助成金制度が早かったので、企業が自社施設等に自前の再生可能エネルギー発電所の建設も進みました。この動きは、今や中国やインドなど新興国にも波及し、企業が自前の再生可能エネルギー発電所を持ったり、電力事業者と共同で再生可能エネルギー発電所建設に投資を行ったりすることが、年々活発化しています。企業経営者は、電力需要、電力価格とともに、電源構成の問題も意識しながら、どのような電力をどこから買うのかということを経営課題として意識するようになりました。
国外で大きな事業所を持つ日本企業にとっても、どのような電力をどこから買うのかということは、すでに経営の意思決定として重要になりました。それは、2016年4月1日に日本国内でも電力小売事業が全面自由化となったのをうけたことからです。もちろん、新電力事業者の財務体質やオペレーションが依然として不安定なこともあり、既存の電力事業者以外と契約することは大きな決断となります。しかし、徐々に「石炭電源の電力使用」「原子力電源の電力使用」「自ら再生可能エネルギー発電所建設」について、求められる流れができました。

RE100は、再生可能エネルギー100%の目標を掲げるためだけのイニシアチブではありません。RE100の事務局と参画企業が互いに、高い目標である「再生可能エネルギー100%の事業運営」を達成していくことに大きな意義があるのです。現在加盟している企業も、長期計画の中でRE100を実現していこうとしています。世界的な流れに乗って、多くの日本企業がつぎつぎとRE100に加盟してほしいものです。

【機関サイト】The Climate Group

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