有限会社と株式会社の違いと覚えておきたいこと
公開日:2018年04月03日
最終更新日:2018年04月03日
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2006年の新会社法施行に伴い有限会社は新たに設立出来なくなりました。2005年当時、休眠会社を除いた有限会社数は約143万社あると言われ、今もなお有限会社とそのまま名乗っている会社も多くあります。なぜなら、旧有限会社(特例有限会社)には、株式会社にはないメリットがあるのです。このページでは有限会社と株式会社の違い、現在の株式会社との違い、合同会社との違い、さらに2006年当時の有限と株式の違いに分けてご説明します。
目次
現在の有限会社(特例有限会社)と現在の株式会社の違い
2006年の新会社法施行以降、有限会社は「特例有限会社」に移行しました。有限会社から特例有限会社に移行するのに特別な手続きは必要なく、存続期間の制限もありません。特例有限会社は、通常の株式会社を規律する会社法に加えて、特例として従前の有限会社に似た制度の一部引き継いでいます。ですが、現在設立する株式会社とは少し違いがありますのでその違いを表にして比較、解説します。
有限会社 | 株式会社 | |
---|---|---|
商号(会社名) | 有限会社と入れる必要あり | 株式会社と入れる必要あり |
資本金の出資者 | 出資額に応じて社員となったものは株主に移行 | 発起人が出資額に応じて株主となる |
株式公開 | できない | 任意 |
取締役の任期 | なし(メリット) | 株式譲渡制限がある場合は最大10年(ない場合は2年)。 |
社会的信用度 | 株式より低い | 高い |
社会保険の加入 | 義務 | 義務 |
社員数制限 | なし | なし |
決算の公告義務 | なし(メリット) | あり(定款に方法を規定) |
重要事項の決定機関 | 株主総会 | 株主総会 |
特例有限会社は、定款変更をして、特例有限会社の解散登記と株式会社の設立登記をすることで、特例有限会社ではない通常の株式会社となることもできます。しかしながら、特例有限会社には取締役の任期や公告(会社から株主など利害関係者に対する「お知らせ」)の義務がなかったりなどのメリットもあります。また解散登記や設立登記にはお金もかかりますので(最低6万円の登記費用)そのままにすることもひとつと言えます。
有限会社として経営してきたところで、これからは会社の規模を大きくしたい、信用力をつけたい、などの場合には株式会社に移行したほうが良いでしょう。新たに株式会社を新規に設立するよりも、特例有限会社の解散登記と株式会社の設立登記をするようほうが、費用面においてはお得になります。
個人事業主から法人に移行する「法人成り」については下記をご覧ください。
現在の有限会社と合同会社の違い
現在の有限会社(特例有限会社)と合同会社の違いをご説明します。
合同会社とは、2006年の新会社法施行により新しく出来た会社形態です。株式会社と違い資本金の出資者が「株主」ではなく「社員」となることから、以前の有限会社に似た性質を持っています。
有限会社 | 合同会社 | |
---|---|---|
商号(会社名) | 有限会社と入れる必要あり | 合同会社と入れる必要あり |
最低資本金 | 300万円以上 | 1円以上 |
資本金の出資者 | 出資額に応じて社員となったものは株主に移行 | 出資者全員が「社員」 |
株式公開 | できない | 株主はいない |
代表者 | 代表取締役 | 代表社員 |
必要最低役員数 | 取締役1名 | 社員(出資者)1名 |
役員任期 | なし | 社員に任期なし |
社会的信用度 | 株式より低い | 株式より低い |
社会保険の加入 | 義務 | 義務 |
社員数制限 | なし | なし |
決算の公告義務 | なし | なし |
重要事項の決定機関 | 株主総会 | 社員(出資者)総会 |
特例有限会社から合同会社へ移行することも可能です。この場合も定款変更をして、特例有限会社の解散登記と合同会社の設立登記をすることで、合同会社となることもできます。
ただ、株式会社より信用力の低い合同会社へ移行するメリットはあまりありませんので、行っているケースは少ないでしょう。現在では株式会社も小規模向けに対応しているため、移行するなら株式会社のほうが良いと言えるでしょう。事情によりどうしても以前のような出資者を社員とする自由度の高い会社にしたい場合は合同会社でも良いでしょう。
有限会社と株式会社の違い(2006年当時)
現在は有限会社を設立することが出来ないため、補足として有限会社が設立できた2006年当時の有限会社と株式会社の設立時の違いをご説明します。
有限会社(2006年当時) | 株式会社 | |
---|---|---|
最低資本金 | 300万円以上 | 1,000万円以上 |
資本金の出資者 | 有限責任社員が出資額に応じて社員権を有する | 発起人が出資額に応じて株主となる |
必要最低役員数 | 取締役1名 | 取締役3名、監査役1名、取締役会を必ず設置 |
役員任期 | なし | 2年 |
社会的信用度 | 株式より低い | 高い |
社会保険の加入 | 義務 | 義務 |
社員数制限 | 50名以下 | なし |
重要事項の決定機関 | 社員総会 | 株主総会 |
有限会社と当時の株式会社の1番の違いは、最低資本金の額や社員数などを見ても分かるとおり、規模の大きさが違います。家族経営や個人事業など将来的にも規模を大きくする予定のない会社には有限会社が適していました。当時の株式会社は最低資本金額が1,000万円と、金額のハードルが高かったことも有限会社設立の大きな要因の一つでした。
有限会社が設立できなくなった経緯について
2006年の新会社法の施行により有限会社は設立出来なくなりました。なぜ設立出来なくなったかというと、新会社法では有限会社のかわりに小規模でも株式会社が設立しやすくなったためです。有限会社は株式会社より信用力が低いため、有限会社ではなく無理に株式会社を設立する企業が増えました。
本来の株式会社の決まりが形式的になってしまったため、新会社法では「取締役会」を設置しない「株式の譲渡制限」を設けた小規模企業向けの株式会社が設立できるようになりました。
ネット上での情報
ネット上でも有限会社や株式会社について常に話題になっています。
会社設立の際に役立つサービス
会社を起こすとなると困るのが税金の話など、普段耳にしない内容も多いと思います。その際は税理士に相談することをおススメします。
まとめ
有限会社と株式会社の違いをご紹介いたしました。有限会社を現在も経営されている場合は、新規に株式会社を設立するよりも、有限会社から株式会社に移行したほうが費用面でもお得ですので、ぜひご検討ください。
しかし、有限会社は取締役の任期や公告の義務がなかったり、有限会社という名称から古くから営んでいる企業ということが一目でわかることもメリットのひとつです。