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【節税対策】税金を低くするために知っておきたいこと

公開日:2020年08月09日
最終更新日:2020年08月09日
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1年間の事業の中で利益を得た場合、法人税といった税金を納める必要があります。税金は税法で定められた方法で算出されますが、上手に活用することで、納める税額を低くすることが可能です。節税をして、設備投資など事業拡大への投資に回せるように対策を取りましょう。

節税と脱税

納める税金を低くするための対策は、「節税」です。「脱税」ではありません。脱税とならないために、節税と脱税の違いを理解しておく必要があります。

節税とは

節税とは税法に則って、税金を低くするための方法や手段を講じることです。具体的に、税法で定められた方法で経費を計上して所得を下げたり、税額控除を使って税額を低くしたりすることを指します。

政府の政策や社会情勢に合わせて法律を改定していくため、税法は割と頻繁に改正が行われています。例えば、世の中の景気が悪いときは、経済市場でのお金の動きを活性化し、景気をよくするために、経費の計上や、税金の控除や非課税枠を多くするといったことです。

脱税とは

脱税とは税法で定められた範囲を超えて、不正に納める税金を低くすることです。不正に行っているため、罰則があります。一般的に、罰金としての性格をもつ、延滞税や加算税などのことです。

脱税といっても、計算違いなど故意でないものと、明らかに不正と知りながら行う故意のものがあります。故意で悪質なものは、逮捕される場合もあるので注意しましょう。

節税対策の2つの方法

節税には大きく分けて2種類あり、「永久節税型」と「繰延節税型」です。

「永久節税型」はその事業年度以降に影響することなく、税金の支払いを低くできる対策です。

「繰延節税型」は税金の支払いを将来に繰り延べることで、その事業年度意向に影響をあたえる対策になります。

永久節税型の節税対策

永久節税型の節税対策は、普段から行うものと、決算前に行うものに大きく分かれます。

普段から行う永久節税型

1.役員の給与と賞与

役員の給与や賞与は、経費(損金)計上できませんが、次の場合に限り計上できます。

  • 役員給与

役員給与は、毎月一定額を支給する場合のみ経費(損金)にできます。決算終了後に毎年開催する、株主総会や取締役会などでの役員給与の金額変更(事業年度開始日から3か月以内に行われるものに限る)以外は、期中での変更はできません。

  • 役員賞与

役員賞与は支払う時期と金額を事前に税務署に届けることで経費に計上できます。届け出の提出期限は次の2つのうち早い日です。

①株主総会等の決議があった日から1ヵ月を経過する日

②その会計期間開始の日から4ヵ月を経過する日

事前に届け出たものと異なる場合は、経費にできなくなりますので注意が必要になります。

2.出張旅費規程

出張旅費の実費であれば問題ありませんが、定額の出張手当等を支給している場合は、出張旅費気でいを設けることで、経費にすることができます。

決算前に行う永久節税型

1.少額減価償却資産の特例

少額減価償却資産の特例とは、30万円未満の資産を購入した場合、年間300万円までは、その購入金額全額を経費にできることです。

通常は1つあたり10万円以上の資産を購入すると購入金額全額を経費にはできません。毎年減価償却し、少しずつ経費にします。少額減価償却資産の特例を使えば、条件に当てはまる資産であれば、全額経費可能です。決算時に利益が出そうな場合は、必要な資産を駆け込みで購入し、節税できます。

ただし、この特例は中小企業のみとなるため、注意が必要です。

2.消耗品の購入

考え方は少額減価償却資産の特例とお同じです。1つあたり10万円未満のものは購入価格全額を経費にできます。そのため、必要な資産であれば決算時に購入し、駆け込みの節税が可能です。

繰延節税型の節税対策

繰延節税型も普段から行う繰延節税型の節税と、決算前に行う繰延節税型の節税の2つに分かれます。

普段から行う繰延節税型

1.生命保険の活用

生命保険の中には満期時や途中解約の際に、一定の保険金を受け取り可能なものがあります。

定期保険や養老保険が代表的なものになります。それぞれ毎月の掛け金の全額や半額などが支払い時に経費になるためです。。

ただし、満期や解約などで保険金を受け取った場合は、収益として計上します。保険料の支払い時は経費として節税となりますが、受取時には収益となり税金が高くなるため、受取時に退職金の支払いなど別の対策が必要となります。

2.日本型オペレーティングリース取引(JOL)の活用

ここ最近注目を集めているのが日本型オペレーティングリース取引(JOL)です。JOLとは、SPCというオペレーティングリースを行う特別目的会社に出資することで、出資金は全額経費になります。

JOLの概要は次のとおり

①まずSPC(特別目的会社)が、投資家から出資金を募る。

②その出資金などでSPCは航空機や船舶、海上コンテナといった大型な資産を購入。

③購入した大型資産をリースし収益を計上。

④出資金額に応じて、投資家に収益を分配金として分配。

出資金の全額を経費にできるため節税になりますが、後日出資金が戻ってくる場合に、その受け取った出資金は収益となります。出資金の支払い時は経費として節税となり、受取時には収益となるので税金が高くなり、受取時までに繰越損失を作っておくなど、別の対策が必要です。

決算前に行う繰延節税型

1.決算賞与

決算賞与は、決算時に利益が出た場合によく行われる節税対策です。下記の条件を満たす場合は、支払い前でも未払計上することでその年の経費にできます。

・決算期末までに同時期に支給を受ける全ての従業員に、支給額を通知

・決算日の翌日から1ヵ月以内に、通知したすべての従業員に通知金額を支給

決算賞与は、あくまで経費の前倒しです。翌年度に決算賞与を支払った時には経費にできません。決算賞与を行う時は、翌年度の利益のことも考慮しておく必要があります。

2.未払費用・短期前払費用

支払いには、翌期になるものと、先に支払う2つのパターンがあります。サービスの提供などを先に受け支払いが翌期になるものが「未払費用」、先に支払いサービスの提供などが翌期になるものが「(短期)前払費用」です。

本来、経費に計上する時期は支払い時ではなく、サービスの提供などを受けた時です。そのため、サービスの提供などを受けたが支払いが翌期になるもの(未払費用)で、まだ経費計上していないものがあれば、今年度に計上することで節税となります。

また支払った日から1年以内に、サービスなどの提供を受け、毎年同じように継続して年払いしているものは、前払い時にその全額を経費にすることができます。

具体的には保険料や年払いの家賃などが該当します。これを「短期前払費用の特例」といい、毎年継続して支払い時に経費にする必要があります。

未払費用や短期前払費用は、今まで翌年度に経費にしていたものを今年度の経費とするものです。そのため、翌年度の利益のことも考慮しておきましょう。

 

一般的な法人の節税方法について紹介しました。ほかにも多くの節税対策がありますが、節税対策の選択を間違えると、効果が出ないケースも多くあります。節税においていちばん大事なのは、自分の会社に合った節税対策をするということです。最適な節税対策のために、あらかじめ税理士などの専門家に相談するようにしましょう。

 

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