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【法人税】計算の仕組みや基本的な考え方を解説

公開日:2020年03月07日
最終更新日:2020年03月07日
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法人にかかる税金は経営者にとって重要なことの一つ。利益に税率をかければ法人税の金額が出ると思いがちですが、税法独特の考え方があり単純なものではありません。今回は法人税の計算方法の基本的な考え方を見ていきましょう。

 

法人税の計算の仕組みと手順

 

法人税は「(課税)所得×税率」の計算式で求めます。計算式自体はいたってシンプル。しかしその内容は少々複雑です。

 

(課税)所得

「利益」「所得」という言葉はよく耳にすると思います。利益と所得は似ていますが、異なります。法人の計算をする場合、利益と所得の違いを知っておく必要があります。

 

利益

利益とは会社の儲けです。その月や年の経営状況を判断する指標になります。日々の取引を帳簿に付けていきますが、その帳簿に付けた売り上げなどの収益から仕入れ、経費などの費用を差し引いたものが利益となります。

残高試算表や決算書では「当期純利益」などの科目で表示されます。利益は、税金の概算を把握するための目安となりますが、税金の計算をするための基にはなりません。税金の計算は所得になります。

 

所得

所得とは税金の計算の基になります。税法では税金を計算する上での収益を「益金」、費用を「損金」と呼びます。所得は益金から損金を差し引いたものです。

税金の計算は日々の帳簿付けから導かれた利益から始めますが、会計上の収益や費用と、税法上の益金と損金は同じではありません。そこで、収益から税法上の益金と損金になるように調整し、所得を計算していきます。

 

税率

所得の金額を求めたら、税率を掛けて法人税の金額を出します。法人税の税率は、会社の規模やその年の所得金額によって異なります。

 

益金とは

法人税の計算上、益金になるもの

①有償で商品の販売やサービスの提供など

基本的に会計上の収益と益金は同じです。商品を販売したり、サービスを提供したりして、現金などを受け取った場合は、税法上の益金になります。固定資産の売却益、預金利息の受け取りなども益金となります。

 

②無償で商品の販売やサービスの提供など

無償で商品を販売、サービスを提供する場合も益金になります。帳簿に載っていない無償の商品販売やサービス提供があった場合は、税金の計算をする際、その分を所得に加算(益金算入)する必要があります。

 

法人税の計算上、益金にならないもの

税法上では益金になるものの、税法上では益金にならないものがあります。税金の計算をする際には、その分を所得から引いて(益金不算入)する必要があります。

 

①受取配当金

他社の株式を所有している場合、配当金を受け取ることがあります。配当金は普通預金などに振り込まれるため、一般的に受取配当金として収益に計上します。しかし、配当金を支払う会社は、法人税などの税金を支払った後の利益から配当金を支出しています。配当金を受け取った側でも税金を課してしまうと二重課税になるため、受け取った側は益金にしません。

 

②税金の還付

法人税や法人住民税の予定納税などで、払いすぎた税金の還付を受けることがあります。通常は益金になりませんが、事業税や固定資産税など損金になる税金が還付された場合は、益金になります。

 

損金とは

法人税の計算上、損金になるもの

基本的に損金になるものは費用になるものと同じです。

 

①原価

仕入れや材料費といった売上に直接関係する原価は、売り上げを得るために必要不可欠なので、損金になります。

 

②販売費、一般管理費、その他費用

原価が売上に直接関係する支出であるのに対して、売り上げに関係する販売費や一般管理費などの費用。人件費、水道光熱費、事務用品費、地代家賃などが販売費や一般管理費にあたります。売上を得るために必要なものなので、損金になります。

 

③損失

固定資産を売却した場合の損や、商品が陳腐化した場合の廃棄損などは、事業を行う上で発生しうる損失なので、損金となります。

 

法人税の計算上、損金にならないもの

 

①役員報酬・役員賞与

役員報酬や役員賞与は原則として損金になりません。その中でも定期同額給与や事前確定給与については損金になります。

 

②一定の金額を超える寄付金

慈善団体への寄付は、企業の社会貢献のためにひつようなものです。しかし、上限なく損金に認めてしまうと租税回避に利用される可能性があるため、限度額を超える分については損金になりません。

 

③原価償却費の過大分

固定資産を購入すると、その所得価格を毎年少しずつ損金にしていきます。税法では損金にする計算方法があり、その計算によって求めた限度額よりも過大に費用とした分については損金になりません。

 

④その他

同業種、同規模の会社に比べ、明らかに金額が大きい費用については損金にならないものがあります。

 

 

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