法人クレジットカードとは?法人クレジットカード解説(基礎編)
公開日:2018年05月14日
最終更新日:2019年09月05日
3216 views
法人クレジットカードとは、会社や個人事業主などの企業(法人)に対して発行されるクレジットカードのことで、主に「法人カード」とも呼ばれます。名義は「法人に所属する個人」になります。このページでは法人クレジットカードについて、おすすめのカードと共に法人クレジットカードの基礎について解説してまいります。
目次
法人カードの年会費はどれくらい?
法人カードは高くない。JCBなら1,250円(税別)
法人用クレジットカードを申し込むとき、気になるのが年会費です。法人カードといえば、年会費が高いというイメージを持っている人も多いようです。しかし、法人カードだからといって、特別に年会費が高いというわけではありません。平均的には、法人カード(ビジネスカード)の年会費は一般カードなら1,300円程度、ゴールドカードなら1万円~3万円くらいになっています。経営者や個人事業主が「自分のカードをもう1枚作る」ような感覚で気軽に作ることができます。
実際に、各カード会社の法人カードと個人カードを比較すると、年会費はほぼ同じ。例えば、「JCB 法人カード」の年会費は、一般カードが1,250円(税抜)、ゴールドカードは1万円(税抜)で、いずれも個人カードと全く同じです。
年会費を上回る特典も
クレジットカード会社によっては、法人カード向けにさまざまな特典を用意しており、これを上手に使えば、年会費を上回る恩恵が得られます。
ビジネスカードとコーポレートカードとの違い
中小企業、個人事業主は「ビジネスカード」を!
法人カードは大きく分けて、「ビジネスカード」と「コーポレートカード」の2種類があります。「ビジネスカード」は、中小企業・個人事業主向けのカードです。それに対して、「コーポレートカード」は、主に大企業向けに発行されるカードとなっています。
カード発行枚数の制限
ビジネスカードとコーポレートカードの違いの一つは、追加カードの発行枚数の上限です。
ビジネスカードは、少人数の企業向けにつくられたカードであるため、発行枚数に制限がある場合がほとんどです。例えば、「セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード」の場合は、追加カードの発行は4枚までです。
それに対して、コーポレートカードは、法人がカードの発行枚数を自由に指定できるようになっていることが一般的です。
限度額の制限
ビジネスカードとコーポレートカードでは、限度額を設定できる対象が異なります。
ビジネスカードの場合、同じ会社で複数カードを持っていても、限度額は一律です。追加カードを発行した場合、一枚目のカードと同じ限度額になります。
それに対して、コーポレートカードの限度額は、法人だけでなく、部署単位で限度額を設定することができますので、活用方法は様々です。
年会費の違い
ビジネスカードとコーポレートカードは、カード会社によって、年会費が同じ場合と、異なる場合があります。
JCB法人カードの場合、ビジネスカードなら年会費は1,250円+税(一般カード)、コーポレートカードの年会費は3万円+税。ビジネスカードの方が、圧倒的に安いです。
法人カードの審査基準
個人より厳しい審査基準
法人カードは個人カードより審査が厳しいのは、カードの利用額が大きいからです。また、会社の場合、倒産によって資金を回収できなくなるリスクもあり、クレジットカード会社は個人よりも厳しい審査基準を設けていることがほとんどです。
審査基準は、カード会社によっても異なりますが、審査基準を明確に公表しているカード会社はほとんどありません。ただし、カードの発行状況から考えると、一般的には「3年以上経営していること」「経営状況が黒字であること」がおおよその目安とされています。
審査基準が厳しいと言われているのが、「ダイナースクラブ ビジネスカード」。審査基準が厳しい分、ステータスの高いカードとして使うことができます。
ラグジュアリーカードも高いステータスとともに、極上のサービスが用されています。
しかしながら、法人カードについては、「ダメ元で申請したら、簡単に通った」という話もよく聞きます。申請手続きはそれほど面倒ではないことが多いので、とりあえず申し込んでみるといいでしょう。
法人カードの利用限度額って?
個人カードより高いのが魅力
法人カードは、個人カードよりも利用限度額が大きいです。会社の業務に支障が出ないように利用可能枠が多めに設定されています。ただ、具体的な限度額は、個々の法人によって異なります。
限度額は各社異なるが大きいことが一般的
店舗の賃料や保証金、設備費用など、経営には何かと出費が伴います。一般的に、個人カードの限度額の平均は5万~50万円。これだけでは、1枚のカードで会社の出費をまかないきれません。
そこで助かるのが、法人カードです。法人カードは限度額が高く、中には100万円以上を限度に使用できるカードもあります。
限度額はカードによって様々
法人カードの限度額は、カードによって様々です。
最初から利用可能額が決まっている場合と、一律の限度額はなく経営状況などによって個別に限度額が設定される場合があります。
一般カードの利用可能枠は30万~100万で、最初は最低ラインの30万円からスタートする場合が多いです。一方、ゴールドカードの場合は、限度額は50万~250万円です。「三井住友カード ビジネスカード」の場合、一般カードの限度額が20万~40万円、ゴールドカードの場合は一律で100万円です。
限度額の目安が設定されておらず、審査によって個別に設定されるカードもあります。これらのカードは、年商や営業年数などに応じて個別に限度額が設定されます。
限度額を上げるには
初めて法人カードに入会した場合などは、限度額が少なくて使いにくいと感じることがあります。しかし、利用実績(クレヒス)を積み上げていけば、限度額をアップすることができます。
また、法人カードによっては、事前に入金をしておけば、限度額よりも多くカードを使える場合もあります。アメックスは事前入金(デポジット)に対応しており、小まめに入金をすることで、限度額に関係なく、多額の支払いを法人カードで行うことができます。
追加カードがあれば社員も使える
「上席抜き」で楽しく接待
法人カードの便利な点は、「社員なら誰でもカードを使える」ことです。個人カードの場合、カードを使用できるのは、名義人本人のみです。たとえ家族間であってもカードを貸し借りすることはできません。しかし、法人カードなら、社員ごとに追加カードをつくれば、社長以外の従業員も使うことができます。
社長の個人カードだと限界が
中小企業では、経営者が個人のカードを支払いに使うことがよくあります。しかし、その場合は、決済の場に必ず経営者が立ち会わなければなりません。また、法人が後で個人に返済しなければならず、会計上、面倒です。法人カードなら、代表者に加えて、従業員ごとに追加でカードを作ることができるため、経営者が同席しない場面で従業員が接待や備品購入の代金を支払う際に、たいへん便利です。
追加会員はいくらかかる?
従業員用の追加カードで利用した分の代金も、一括して法人の口座から引き落とされます。毎月の利用明細書も一枚にまとまって送られてくるので、会計処理の簡略化にもつながります。
追加カードの料金
追加カードにかかる年会費は、1枚目のカードと同じ場合と、異なる場合があります。例えば「JCB 法人カード」の場合、1枚目のカードの年会費は1,250円(税抜)。追加会員が1名増えるごとに、年会費は同じ1,250円(税抜)がかかります
ポイントを貯めて、経費を浮かす!
ギフト券や携帯電話料金に充当も
個人のクレジットカードと同じように、法人カードも、利用額に応じてポイントが貯まります。ポインドの仕組みは、個人のクレジットカードとほとんど同じです。ポイントを貯めれば、特典に交換でき、会社の経費節減につなげることもできます。
オフィス用品や食事券に
多くのカード会社は、個人と法人でポイント制度に大きな違いを設けておらず、プログラムの内容はほぼ同じです。ポイント付与率も個人と法人では同一で、たとえば、アメックスの場合、100円ごとに1ポイント、JCB法人カードなら1,000円ごとに1ポイント貯まります。
ポイントの交換対象は、商品ギフト券や食事券など様々です。オフィスに必要な文具類とも交換できるため、経費の節約につなげることもできます。また、食事券に交換すれば、接待・交際費を削ることも可能です。
JCBならギフト券や携帯電話代に
JCBの「JCB法人カード」の場合、貯めたポイントは、商品やギフト券のほか、ビジネス誌の定期購読サービスに交換できます。そのほか、楽天スーパーポイントや、au、ドコモ、ソフトバンクなど携帯会社のポイントへの移行も可能で、利用範囲がとても広いのが特徴です。
「ダイナースクラブ ビジネスカード」では、貯めたポイントをiPad、液晶テレビなどの商品に交換できます。
「ラグジュアリーカード」ではレアなヴィンテージワインにお手頃なレート(業者の仕入れ価格)で交換できます。
法人カードで経理をカンタンに
利用明細でスマートに支出管理
法人カードは、会計・経理の業務の効率化にとても役立ちます。経営者にとっても経理担当者にっても頼もしい存在です。
利用明細で支出の管理
法人カードの大きなメリットは、毎月送られてくる利用明細書です。利用明細書があれば、1か月の利用実績を正確に把握することができます。複数のカードを発行していても、一括して利用明細に記載されるため、管理が簡単。支出を簡単にチェックすることができ、日々の経理処理も簡略化されます。どの従業員が何にお金を使っているのかが、一目瞭然となり、会社の経理の透明性も高まります。
法人カードは簿記がラク
会社経営では、経営者が個人的に経費を自分で立て替えることがよくあります。たとえば、お客さんを接待したときに社長個人のクレジットカードで支払う場合などです。
しかし、個人のクレジットカードで立て替えると、経理の処理が面倒です。いったん「役員借入金」を計上したうえで、後で返済する形になるため、簿記の流れが複雑になります。これに対して、法人カードはとてもシンプル。カード決済日に支払いを計上するだけで済みます。
法人カードでもマイルを貯められる!
社長個人のマイルに移管
マイレージは、国内のほとんどの航空会社の場合、個人でのみ加入でき、法人名義では加入できません。そのため、法人カードで貯めたポイントを移行するときは、個人名義のマイレージに移行することになります。
航空券予約
法人カードの中には、航空券の予約を代行してくれるサービスが付いているのもあります。
JCBでは、法人カード会員限定の「JCB de JAL ONLINE」「JCB.ANA@desk」というサービスを提供。ANAとJALの国内線の航空チケットをパソコンなどで予約し、代金を法人カードで支払うことができます。チケットレスなので、ネットで予約すれば後は空港で搭乗券を受け取るだけで簡単になります。JALについては24時間365日いつでも申し込むことができます
旅行保険・特典
海外出張に役立つ旅行傷害保険が無料でついてくる法人カードもあります。海外出張に行くときは事前に旅行保険に加入するのが一般的ですが、手厚い旅行保険がついたカードなら、出張のたびに保険に入らずに済みます。
ダイナースクラブ ビジネスカードの場合、海外だけでなく国内旅行でも最高1億円の旅行傷害保険がつきます。
また、ダイナースクラブ ビジネスカードは海外でのサービスが充実しています。世界各地の超一流ホテルの宿泊料金が格安になるほか、旅行先で日本語のサポートを受けられる海外トラベルデスクも利用できます。
ラグジュアリーカードの場合、ポイントはJAL、ANA、ハワイアン航空のマイルに交換が可能です。交換手数料は無料です。
ビジネスに役立つ特典は豊富
タクシーチケット、オフィス用品が安く買えるなど
法人カードには、カード会員になるだけで利用できるお得な特典がたくさんあります。経費の削減や、スムーズな会社運営に役立つ内容です。
タクシーチケット
JCBカードは、法人カード会員の特典としてJCB提携のタクシー会社で使える「タクシーチケット」のサービスを提供しています。
タクシーチケットとは、タクシーに乗ったときに支払いに使える券です。チケットに料金などを記載し、サインをするだけで支払いが完了します。かかった代金は、後でチケットの名義人となっている法人に請求されます。
接待などで大切なゲストを送迎する際は、タクシーチケットを渡して利用してもらうのがスマートな方法です。使用した金額はカードの利用明細書に載るので、いついくら使ったのかを確認するのも簡単です。
オフィス用品を安く購入する
JCB法人カードには、オフィス用品を格安で購入できる特典もあります。「JCBオフィス用品デリバリーサービス」を利用すれば、OAやパソコン用品、文房具、オフィス家具などを安く調達できます。注文の当日または翌日に配達をしてくれるのも嬉しいポイントです。経費や事務作業の節約に役立つサービスです。
ゴールドならさらなる特典が!
利用可能枠は一般よりも多めの設定
法人カードを申し込む際に気になるのが、一般カードとゴールドカードの違いです。法人カードの場合、一般カードであっても審査が厳しいです。このため、「どうせ厳しい審査を受けるなら、最初からゴールドカードにしようか」と考える経営者さんも少なくありません。
ゴールドならでの特典満載のJCB
一般カードとゴールドカードでは、付帯するサービスも大きく異なります。とくに、旅行傷害保険の補償額や空港ラウンジ利用などで大きな差があります。
中でも「JCB法人カード」は、一般カードとゴールドカードでサービスの充実度に大きな違いあります。ゴールドカードには最大1億円補償される海外旅行保険が付くほか、空港ラウンジの無料利用や名門ゴルフ場でのプレイ、人間ドッグの割引などの特典がもりだくさんです。
法人カードで「領収書いらず」
法人カードで払えば領収書が不要に
会社の出費を法人税上の経費として算入するには、領収書のような書類の裏付けが必要です。
しかし、お店で領収書を発行してもらい、それを手元で管理するのは、とても煩雑な作業です。日付や使い道ごとに整理して、帳面に貼り付けるなどの手間もかかります。
しかし、法人カードを発行するカード会社の利用明細書があれば、基本的には領収書は不要。利用明細書には支払いの日時、金額、支払い先など、必要な情報は網羅されており、税務署への証拠資料としても活用できます。毎月決まった時期に送られてくるので、管理も簡単です。
中小企業にとって税務調査への対応は悩みのタネですが、法人カードの利用明細をうまく活用すれば、手間はだいぶ省けます。領収書を発行してもらえないようなオンライン・ショッピングのサイトで買い物をしたときも、利用明細さえあれば経費として算入できます。
個人との区分け
税務署は、法人と個人の支出の切り分けがしっかりとできているかを常に注視しています。会社の経費を個人のカードで立て替えていると、「個人用の出費ではないのか」という疑念を持たれかねません。個人カードを引落している個人の預金口座の提出を求められることもあり、個人の預金の中身をせんさくされる羽目になります。
会社での支出はあくまで法人カードで行うことで、税務調査にもしっかり対応できるのです。
個人事業者の確定申告にも
カードの利用明細は、個人事業主の確定申告の際にも使えます。確定申告の際には、1年分の領収書を用意しなければなりませんが、それは保管もチェックも大変です。クレジットカードの利用明細があれば、領収書の代わりになるため、申告作業が非常に簡単になります。
法人カードについてまとめ
法人カードは、年会費はそれほど高くありません。昨今、法人カードの付帯サービスも充実してきていることから、ビジネスシーンでは様々な活用が可能です。
また、年会費も経費で計上できることから、1枚は必ず持っておくことをおススメします。