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【会社設立】メリット・デメリット、個人事業主との違いを解説

公開日:2020年09月18日
最終更新日:2020年09月18日
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これから事業をはじめようと考えたときに迷うのは、「個人事業主と会社組織のどちらがいいのか」というものです。 その人の置かれている状況や、事業内容によって変わってくるので、どちらがいいか一概に言えません。 まず、会社設立を検討するポイントをみていきましょう。

事業資金は、個人資金でまかなえるか

共同出資者からの出資や金融機関などから借入が必要な場合は、会社設立が有利です。

事業経営は個人のノウハウや知識でできるのか

事業経営に必要なノウハウや知識がないと、共同出資者や従業員が必要となりますので、会社設立を考えましょう。

事業拡大を望むのか

事業拡大を望むことが多いでしょうが、それだけリスクも高くなります。一般的には会社設立が有利です。

事業内容が個人事業主でも問題ないか

事業によっては、会社設立をしないと許認可がおりないものもあるので注意しましょう。

個人事業主からはじめて、軌道にのってきたら法人化するというのもよくあるケースです。 個人事業主は税務署に開業届を出すだけではじめられます。 一方で株式会社を設立する場合は、登記が必要です。また最低でも20万円程度の費用 (定款認証費用5万2千円と登録免許税15万円)がかかり、資本金も用意する必要があります。

会社設立には当然メリットだけではなく、デメリットがありますので安易に会社設立を選択しないことです。 メリット・デメリットをしっかり把握した上で、会社設立を選択しましょう。

会社設立のメリット

対外的信用力の増大

会社は設立時に商号・住所・目的代表者・資本金・役員等が登記されます。そのため個人事業主よりも信用を得られます。 特に大手企業など中には、実績があっても個人事業主へ仕事を発注しない会社も存在します。とはいうものの、株式会社も資本金1円から設立できるので、必ずしも個人より信用があるというわけではありません。 あくまでその人の能力・信用です。
しかし、同じ事業の場合、会社の方が信用面で有利なのは明らかです。また、肩書や名刺に「株式会社」とあるだけで、取引先の印象が違うのも事実。 個人事業主の場合、信用を得るまでには長い時間がかかります。

節税面でのメリットの大きさ

法人税は利益が増えても、原則一定税率なのに対し、個人事業主は所得が増えるほど税率も高くなる累進税率で課税されます。そのため、売上が大きい場合は法人税が有利。会社組織にした方が経費にできる費用が増加して有利となります。

個人事業主は売上から必要経費を差し引いた残り全部が所得です。一方、会社の場合は会社が社長である自分に給与を支払うという形式となります。役員報酬を含めて給与として貰うお金は、会社の売上から必要経費を差し引いた残りの金額から、 さらに給与所得控除で役員報酬の一定割合を必要経費として所得から差し引くことができるので、 法人化した方が節税できる可能性大です。 年間所得が400万円を超える水準になったら法人化を検討してみましょう。

税務上のメリット

給与所得控除

売上から必要経費を控除した金額から、役員報酬を給与所得控除(役員報酬の一定金額を必要経費とみなして所得から控除する)すれば、課税される所得を小さくすることが可能です。

所得税と法人税の税率の違い

個人事業主の所得税は超過累進課税のため、所得が増えるごとに税率も高くなります。一方、法人の税率は一定のため、会社設立による節税効果は高くなります。

経費の内容の違い

個人事業主の場合、家計用と事業用の線引きが曖昧になるため、事業用としての必要経費に認められる部分が小さくなります。一方、会社は株主のために利益を目的として設立しているので、会社の経費は原則として「すべて事業活動のための支出」という前提です。このため、自宅兼事務所、自動車、生命保険料、退職金など、法人にした方が経費として認められる幅が広くなります。

欠損金の繰越期間の違い

損失が出た年度があった場合、その損失を翌年度以降の所得と相殺することが可能で、「欠損金の繰越控除」といいます。個人事業主は、純損失の繰越は3年間しかできません。ところが法人は、青色欠損金を10年間繰り越すことができます。

消費税の免税効果

個人事業主、法人ともに、創業時の2年間(2期間)は消費税が原則免税となります(ただし例外有)。個人事業主として創業し、2年後に個人事業主を廃止し、法人を設立すれば、最長で4年間の消費税の納税免除が可能です。

家族への給与

個人事業主は原則として家族に給与を支払えません。青色事業専従者給与として税務署へ届出をすれば認められます。法人の場合は実際に事業に従事していれば、労働の対価として相当と認められる金額を給与として支払うことが可能です。これにより、所得分散をして経営者の所得税、住民税を節税することが可能になります。

資金調達のしやすさ

資金が必要になったとき、個人事業主よりも会社組織の方が、金融機関などとの融資交渉では融資条件が有利です。また融資以外での資金調達の可能性も広くなります。個人事業主の場合、青色申告で満額の控除を受けない限り、貸借対照表の添付が免除となっています。このため金融機関は融資審査の際に、財務状況が明確でないため、法人に比べて厳しい融資条件です。金融機関から融資を受ける場合、第三者保証人を要求される可能性が高くなります。
一方、法人の場合は、財産管理が厳格で損益計算書と貸借対照表があるため、明確に融資判断ができ、広く資金調達の可能性が開かれています。

 

優秀な人材を得られる可能性

昨今、雇用が不安定な世の中のため、安定的な雇用を求める人が多くなっています。 そのため会社の正社員として働きたいと考える人が大半といえます。 優秀な人材は個人事業主よりも企業に応募する可能性の方が高いでしょう。

決算日の設定

個人事業主の事業年度は1月〜12月ですが、法人は決算日を自由に決めることが可能です。 そのため、繁忙期と決算事務が重ならないようにすることで、1年間を通じて業務を平準化できます。

事業承継をしやすい

個人事業主の場合は、事業主が死亡し相続が発生すると、個人名義の預金口座が一時的に凍結され、支払いが困難になるといった、支障が生じます。 一方、法人は代表者の死亡により会社の預金口座の凍結や、会社の資産が相続の対象となることはないので、事業がストップすることはありません。

個人資産の差押えを受けない

個人事業主の場合、借入金や仕入れ先への未払いなど、事業主が返済する必要があります。 法人の場合は、出資の範囲内での責任にとどまるので、会社が破産しても形式的には個人に返済義務はありません。 ただし中小企業の場合、金額の大きな仕入代金の決済や、金融機関の借入で、社長個人が連帯保証人になる場合がほとんどなので、返済義務は個人事業主と同じになります。

会社設立のデメリット

設立時の時間やコスト、会社運営でコスト高

会社の設立時は、定款の作成・登記申請など時間と費用がかかります。 登記には最低でも20万円程度の費用(定款認証費用5万2千円と登録免許税15万円)がかかり、資本金も必要です。 さらに、毎年税務申告を行う際に、赤字でも法人住民税の均等割は支払う必要があります。

社会保険への加入義務

法人の場合、社長一人の会社でも社会保険への加入が義務づけられます。 社会保険の保険料は、国民健康保険と国民年金に加入する場合に比べて高額です。 仮に所得が月40万円の場合、個人事業主は、国民健康保険料は月に約5万円、国民年金保険料は月に1万5千円、合計月に6万5千円になります。会社の場合は健康保険料は月約3万8千円、厚生年金保険料は月約6万4千の合計月約10万2千円です。 社会保険料は会社と本人が半分負担します。厚生年金は国民年金に比べて支給額がかなり多いため、厚生年金の方が損するわけではありません。 ただし、従業員を雇う場合には、社会保険料に係る会社の負担は大きくなるといえます。

事務の負担増

法人の場合は厳密な会計ルールに従った会計処理を行います。 税金の申告でも、法人税の申告は複雑なため、税理士や公認会計士といった専門家に依頼しないと手に負えません。 また、社会保険や労働保険の手続きも経常的に発生します。 株主総会の開催、役員変更登記など法律上求められる手続も必要となり、事務負担が個人事業主と比べえるとかなり増大です。

会社のお金を自由に使えない

個人事業主の場合、事業で得たお金は自分で自由に使うことができますが、法人は会社の財産と個人の財産は明確に区分されるため、会社のお金を社長が自分のために使うことはできません。 会社からお金を借りる場合には、金銭消費貸借契約書を交し、利息の支払いが発生します。

 

会社設立のメリットとデメリットを説明してきました。多くの方は、起業する際に会社設立を検討すると思います。会社設立には、事業内容や規模、利益、事業拡大の意図などを鑑みて、慎重に検討しましょう。

 

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