個人事業主の所得税ってどれくらい?計算方法・納付時期と納付方法!
公開日:2018年01月18日
最終更新日:2018年04月09日
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所得税とは、1年間の所得(利益)に対して課される税金です。売上から経費や控除を引いた課税所得に対して課税されます。
所得税は、所得に応じて税率(5~45%)が決まっています。所得の金額が高ければ高いほど、税率も高くなる累進課税になります。
個人事業主は、自分で所得を計算して国(税務署)に税額を申告する、確定申告の必要があります。その分、個人事業主には多くの「経費」が認められています。
所得税は所得にかかる税金のため、経費が多くなれば(所得が下がれば)、所得税も少なくなります。このように経費が認められることは、個人事業主のメリットのひとつです。
なお、所得税は、会社員であっても支払います。本人が自覚しているかは別として、毎月の給与から源泉徴収という形で会社が代わりに所得税を徴収して、従業員の所得税を会社が一括して納税しています。
所得と収入(売上)の違いについて
所得とは、法人でいうところの利益です。所得=収入・売上ではありません。収入から費用(経費)を差し引いた利益(儲け)が所得となります。
所得税の納付時期と納付方法
所得税は、毎年1月1日から12月31日までの1年分の所得を自分で計算し、翌年の2月16日~3月15日の確定申告の期間中に、所轄の税務署に申告します。
納付は、確定申告で計算された納税額に基づきますが、所得税の納付期限は、原則、確定申告書の提出期限と同じ3月15日までとなります。
所得税の納付には、さまざまな方法があります。
- 所轄の税務署(現金)
- 税金の取扱いがある金融機関(現金あるいは預貯金口座から振替)
- インターネット等を利用して電子納税する(e-Taxホームページ)
- クレジットカードによる納付(国税クレジットカードお支払サイト)
なお、取引先により事前に収入から所得税が源泉徴収されている場合は、必ずしも確定申告の際に納付しなければならないわけではありません。むしろ、確定申告を行うことによって、支払い過ぎた所得税が返ってくる場合があります。
所得税の計算方法についてみていきましょう。
所得税 = (収入-経費-所得控除-青色申告特別控除)× 税率-税額控除
収入 | 事業などの報酬として支払われた金額。 |
---|---|
経費 | 事業に必要な家賃・設備費・消耗品費・旅費交通費・会議費など。 |
所得控除 | 配偶者控除・扶養控除・生命保険料控除・医療費控除など14種類。 |
税率 | 課税所得の金額が高くなれば、税率も高くなる累進税率の課税方法。5%~45%の段階的に区別。 |
税額控除 |
算出された所得税額から、一定の金額を控除。配当控除や住宅借入金等特別控除(住宅ローン減税)など。 詳しくは税額控除一覧を参照。 |
手順
- 1.事業などの売上を算出。
- 2.売上から家賃、設備費、消耗品費、旅費交通費などの必要経費を差し引く。
- 3.所得控除について算出
基礎控除38万円、配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除、医療費控除、小規模企業共済等掛金控除など合計額を計算し、売上から差し引く。
青色申告で確定申告を行う場合は、最高で青色申告特別控除65万円が控除。
売上から経費と所得控除と青色申告特別控除を差し引いた金額が「課税所得」となり、所得税はこの課税所得が基準になります。
課税所得=売上-経費-所得控除-青色申告特別控除
経費の額は事業によって異なります。例えば、自宅で事業をしていて、原材料や商品の仕入れなどがない場合は、経費が少なくなり、課税所得が多くなります。また、飲食業や小売業のように、店舗を借りて、原材料や商品の仕入れをすれば、経費は多くなるため、課税所得は少なくなります。
- 4.所得に対して税率をかける。所得税の税率は、所得額によって変化。
所得に対する税率と納税額の目安 | |||
---|---|---|---|
(課税)所得 | 税率 | 控除額 | 所得税の金額(納税額) |
195万円以下 | 5% | 0円 | 0円~97,500円 |
195万円超~330万円以下 | 10% | 97,500円 | 97,500円~232,500円 |
330万円超~695万円以下 | 20% | 427,500円 | 232,500円~962,500円 |
695万円超~900万円以下 | 23% | 636,000円 | 962,500円~1,434,000円 |
900万円超~1800万円以下 | 33% | 1,536,000円 | 1,434,000円~4,404,000円 |
1800万円超~4000万円以下 | 40% | 2,796,000円 | 4,404,000円~13,204,000円 |
4000万円超 | 45% | 4,796,000円 | 13,204,000円超 |
- 5.税額控除を差し引く。
住宅ローンがある(住宅借入金等特別控除)、寄付(政党等寄付金特別控除)を行った、株式の配当がある(配当控除)など、税額控除の対象となるものがある場合は、課税所得に税率をかけた金額から税額控除を差し引きます。
この課税所得に税率をかけた金額から税額控除を差し引いた金額が、所得税の金額です。
所得税 = 課税所得× 税率-税額控除
所得税シミュレーション
課税所得と所得税の金額の目安は、個人事業主にとっては大変気になるところです。一般的なケースで、シミュレーションしてみましょう。
- 売上500万
- 経費140万
- 所得控除110万(基礎控除38万+配偶者控除38万円+社会保険料控除24万+生命保険料控除10万)
- 税額控除なし
- 青色申告者(65万円)
課税所得は、売上500万-経費140万-所得控除110万-青色申告特別控除65万=185万となります。
課税所得が185万の場合、税率は5%なので、
所得税は、185万×5%-控除額0円=92,500円となります。
ここに税額控除があれば、所得税92,500円から税額控除の金額を差し引くことになるので、所得税はその分少なくなります。
上記と同じ条件で、白色申告の場合だと、所得税は152,500円となりますので、所得税を60,000円多く納めることになります。
このように、青色申告だと節税メリットが大きいため、ほとんどの個人事業主が青色申告で確定申告を行っています。