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個人事業主の経費になるもの、ならないものを知ってしっかり節税

個人事業主の経費になるもの、ならないものを知ってしっかり節税

公開日:2018年01月19日
最終更新日:2018年04月09日
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個人事業主は、事業にかかった費用を経費として処理することができます。

「経費で落とす」、「経費で処理する」などよく耳にする言葉ですが、それは食事代や文房具代などの費用を経費で処理することを意味しています。

例えば、事業を行うために事務所を借りた場合、事務所の家賃は経費になりますし、従業員の給与も経費になります。また、原材料や商品を仕入れた場合の代金、電話代やインターネットなどの通信費用も経費となります。

その他、オフィス用品や交通費、取引先とのお茶代や食事代なども、事業に関係する費用であれば、経費になります。

税金は、事業の利益(所得)に対してかかることが多いため、経費が多ければ多いほど、利益は少なくなり、税金も少なくなります。

売上-経費=利益(所得)

ただし、すべての費用を経費にできるわけではありません。個人事業主にとって、経費になるもの、ならないものをみていきましょう。

経費となるもの

個人事業主は、事業に結びつくような出費は経費として計上できます。

例えば、
商品の仕入れ代金、家賃、駐車場代、電気代、電話・インターネット代金、交通費、宿泊費、文房具などの事務用品やオフィス用品、パソコン代、宅急便・郵便代金、名刺やパンフレットの代金、仕事先への年賀状、仕事に関連する本・雑誌・新聞、営業車、交通費・ガソリン代、仕事関係者とのお茶・ランチ・飲み・お土産・菓子折り・お歳暮、事業用資金の銀行手数料、従業員の給与、自動車税や固定資産税
など

ポイントは「事業に関係する費用かどうか」です。

次に、経費と迷うものや、経費として忘れがちなものをみていきましょう。

事務所や電気代(家事按分)

事務所や店舗がなく家で仕事をしている場合は、家賃や電気代などの費用を、事業で使った分とプライベートで使った分に分け、経費にできます。

家賃や電気代は、主に事業用のスペースの面積や使用時間などによって、事業としての割合を決めます。明確な区分けがしにくい場合は、毎月かかった費用の5割程度を経費として計上することが一般的です。

経費として忘れがちなもの

個人事業税、自動車税、固定資産税、不動産取得税、登録免許税、印紙税などの税金や、ローンなどの利子・利息、パートや家族などの従業員への給与、従業員への福利厚生費は、経費になるので、忘れずに計上をしましょう。

個人事業主は、会社員と比べて、多くの費用を経費化することができます。使った費用を経費にできるか、チェックするようにしましょう。

経費にならないもの

事業に関係のない費用 (家庭用の電気・ガス・水道・電話代金、家庭用の家賃、プライベートの旅行・ゴルフ、プライベートのランチ・飲み・プレゼント・スポーツジムの会費・健康診断など) は、経費にはなりません。

個人事業主のスーツや靴

プライベートで利用した費用は、当然経費として認められませんが、経費かどうか迷うものとしては、仕事で着用するスーツや靴の費用です。これらも経費としたいところですが、プライベートでも使えるということで、経費とは認めてもらえないケースが一般的です。ただし、芸能の仕事などで、スーツや靴を衣装として使う場合は、経費として認められます。

国民年金や保険代金、高額な医療費

国民年金や保険代金、高額な医療費は、経費としては認められませんが、所得控除の扱いになります。

10万円以上の費用

10万円以上の費用(パソコンや車など)は、経費として一括計上しません。資産の扱いになるので減価償却費として、国税庁で定められた法定耐用年数に応じた経費になります

例えば、100万円の新車を買った場合、新車の法定耐用年数は4年なので、100万円÷4年=25万円となり、25万円の経費として、4年間にわたって減価償却していきます。

個人事業主の経費の種類

個人事業主の経費についてどのようなものがあるのか、具体的にみてみましょう。

品目 経費となるもの
売上原価

仕入や製造にかかった費用

原材料などの仕入れ代金です。

地代家賃

オフィスの家賃や駐車場代

事務所や工場、倉庫などの家賃、月極の駐車場代などです。自宅 兼 事務所・店舗の場合は、事務所の面積と使用頻度の割合を基準に経費とします。

水道光熱費

主に電気代

電気、ガス、水道、灯油などです。自宅兼事務所・店舗の場合は、それぞれの出費を案分して、事業用分のみが経費となります。事業内容によっては、水道代とガス代は経費として認められない場合があります。

通信費

電話、郵便、インターネットなど

事業で使う固定電話代、携帯電話代、ハガキ・切手代、プロバイダー料金などです。プライベートと事業を兼用している場合は、それぞれの出費を案分して、事業用分のみが経費となります。

旅費交通費

交通費、出張費用

仕事で使った電車代、バス代、タクシー代、高速代、駐車料金、出張費用(宿泊費)、通勤手当などです。

消耗品費

オフィス用品全般

ペン、インク、コピー用紙、ノート、封筒、デスク、イス、蛍光灯などの事務用品全般です。10万円を超えるものは、減価償却費の対象となります。

荷造運賃

宅急便、梱包用品

商品の梱包と運搬にかかる費用です。宅急便、バイク便、航空便などの運送費、梱包に使われる段ボールやガムテープも含みます。

広告宣伝費

カタログ、名刺

名刺代、パンフレットやカタログ、年賀状、暑中見舞い、広告代、求人費用、展示会など、事業の広告宣伝に関する費用です。

新聞図書費

新聞、本、雑誌

事業で必要な情報を得るために読んだ新聞や書籍、雑誌などの費用です。

支払手数料

銀行関連や仲介者への手数料

>銀行の振込手数料やATMの時間外手数料、売買契約の仲介者に支払う手数料などです。

租税公課

税金の一部や組合費

個人事業税、固定資産税、自動車税、不動産取得税、登録免許税、印紙税などの税金です。また、商工会議所や同業者の組合などの会費や組合費も含まれます。

接待交際費

取引先との付き合い

得意先や仕入先、そのほか事業に関係する人との飲み代や贈答品代など、菓子折りやお歳暮なども含まれます。

会議費

オフィスやオフィス外での会議

得意先や仕入先、そのほか事業に関係する人と打ち合わせで使った喫茶代、ランチ代、場所代など。交際費との主な違いは、日中の交際費用で単価が高くないのが「会議費」、主に夜の交際費用で単価が高めなものが「交際費」です。

損害保険料

事業の資産に掛けた保険料

事務所や店舗、工場などの資産に対して掛けた火災保険や自動車保険などの保険料。基本的に掛け捨ての保険を指します。貯蓄型の場合は積立保険料に相当する分を差し引きます。

減価償却費

10万円以上の備品

車やパソコンなど、一般的に10万円を超える高価な備品。耐用年数をベースに数年間に案分して経費に計上します。

修繕費

修理や点検代

土地、建物、車などの固定資産を維持管理するのに使った費用です。壁の塗り替え、屋根の修理、定期保守点検などをして原状回復することをいいます。

利子割引料

ローンなどの利子・利息

事業資金として借入をした際、元本以外に支払う利子。土地の購入や事務所・店舗のリフォームなどで借入をした際のローンの利息も含まれます。

リース料

リース契約

コピー機やFAX、車などをリースしている場合に支払う貸借料のことです。

貸倒金

回収不能な売掛金、貸付金

取引先が会社更生法や破産法などで法的手続きに入ったり、倒産したりした時、回収不能となった売掛金や貸付金などのことです。

貸倒引当金

取立不能見込額

経済状況を反映して、売掛金・受取手形などの債権の貸倒れリスクに備え、その見込額を計上することができます。

給与賃金

(専従者)給与、退職金、手当など

従業員、パート、アルバイトに対する給与や退職金、手当。家族に支払った給与(専従者給与)、従業員の制服なども現物給与として、含まれます。

福利厚生費

レクリエーションや慶弔金

従業員との忘年会費、社員旅行費、福利厚生費、従業員の慶弔金、記念品など。一般的に家族以外の従業員に対するレクリエーション費用が対象となり、個人事業主が自分に対して使った旅行代やジムなどの費用は対象外です。

経費は証明することが必要

経費の判断は「事業に関係する費用かどうか」ですが、実際グレーな部分が多く、税務署の職員、税理士、国税庁OBなどによっても解釈が分かれるところです。
そのため、税務署から経費と認めてもらうためには、事業のために使った費用や支出であるということを証明することが大切です。証拠書類を残しておきましょう。

経費の証明書類

  • 領収書やレシート
  • 請求書や納品書
  • メールや郵便物
  • 出金伝票

経費の証明書類としては、領収書やレシートが一般的ですが、請求書や納品書、メールや郵便物などでもかまいません。領収書やレシートがなくても、第3者からの書類も可能な場合があります。

出金伝票

領収書やレシートが出ない電車の切符代や冠婚葬祭のお祝い金や香典などの場合は、出金伝票に明細を記入することで、経費にできます。

また、領収書やレシートをもらい忘れたり、なくしたりした場合も、出金伝票に記載しておくことで、経費にできます。

出金伝票は購入せずに、インターネットからダウンロードしたものや、Excel等を使って自分で作成したものでもかまいません。

データで管理したい場合は、自作やダウンロードしたものが一般的です。自分で出金伝票を作成する時には、取引の日付、金額、(相手先)、内容を入力するようにしましょう。

出金伝票の注意点

経費の証明書類が出金伝票ばかりだと税務署から怪しまれるので、どうしても領収書やレシートがない場合のみとしましょう。

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