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【法人登記】申請の仕方から変更までの基礎知識

公開日:2020年07月29日
最終更新日:2020年07月29日
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会社を設立したら必ずしなくてはならないことは、法人登記です。会社経営者になるにあたって必要不可欠な法人登記について解説します。

法人登記とは

法人登記とは、商号や所在地、代表者氏名と住所、事業目的など、取引場で重要な会社に関する事項を法務局に登録し、一般に開示できるようにすることを指します。設立した会社の概要を公表することで、会社の信用維持を図るとともに、安心して取引できることが目的です。会社(法人)には株式会社のほか、持分会社(合同会社、合資会社、合名会社)、一般社団法人、一般財団法人、特例有限会社、NPO法人などがあります。

会社が法人登記を行うと、登記事項証明書が法務局から発行されます。登記事項は誰でも自由に閲覧できますので、ビジネスでの取引先の実態を確認するのに有効な手段です。

設立手順

法人登記をするための手順を説明します。会社の設立には、発起人が会社設立時に発行する、すべての株式を引き受けて設立する「発起設立」と、株主となる人を募集して設立する「募集設立」の2つのタイプがあります。

会社設立では多くの場合、発起設立です。発起設立は、発起人のみが資本金を出資し、会社設立まで行っていくため手続きが比較的簡単で、迅速に会社を設立できます。一方、募集設立は、会社に出資する株主を募集し、会社設立前に出資者を集めて創立総会を開催しなければいけません。そのため、会社設立までの手続きがやや複雑になります。
今回はメジャーな会社設立方法となっている、株式会社の発起設立を例に説明します。

会社の概要を決める

商号(社名)、本店所在地、発起人、取締役、取締役会と監査役の有無、事業目的(事業内容)、資本金、事業年度など、会社の概要を決めます。特に、本店所在地によって法務局の管轄が変わってくるため、本店の所在地は確定しておきましょう。

類似商号や事業目的の適否を確認

会社法では、同一所在地に同一の商号を複数登記できないと決められています。なお、旧商法で定められていた「類似商号規制」は廃止されたので、他人が登記した会社と同じ事業内容であっても、同じ市町村(区単位の場合もあり)に登記が可能です。しかし、不正目的や誤認により、先行する会社に不利益が生じた場合は、不正競争防止法等に基づいた係争になる可能性がありますので、会社設立前に類似商号調査を行いましょう。
また、会社設立後に行う事業内容を、「事業目的」として明確に決めます。事業目的は違法な内容や漠然とした内容は認められないので、適法かつ明確であることが必須です。

法人用の印鑑を作成

会社を設立したら、代表者個人のハンコではなく、会社の「法人実印」が必要になります。法人実印を作成するときは、今後の会社運営を考え、会社の銀行印、社印、ゴム印(社名や所在地、電話番号、代表者名などが入った物)も同時に作るのがおすすめです。

印鑑証明書の取得

会社の設立に印鑑証明書が必要になるので、先に取得します。尚、印鑑証明書は発起人だけでなく、取締役全員分が必要になります。取締役会を置く場合は代表取締役の印鑑証明書のみです。

定款作成後認証を受ける

次に会社の根幹となる定款を作成します。定款には、「絶対的記載事項」の明記が必要です。それ以外の「取締役選任のルール」や「株券発行のルール」などは決まりがないので、会社に合った事項を定款に加えましょう。

【絶対的記載事項】

・目的

・商号(社名)

・本店の所在地

・設立に際して出資される財産の価額または最低額

・発起人の氏名または名称、住所

【株式会社の定款に必要な項目】

・金銭以外の財産を出資する者の氏名または名称と、その財産の価額、および割り当てる設立時発行株式数

・会社の成立後に譲り受けることを約束した財産と価額、およびその譲渡人の氏名または名称

・会社の成立により発起人が受ける報酬、その他特別の利益、およびその発起人の氏名または名称

・会社が負担する設立に関する費用

定款は公証役場で認証されて有効になります。手続きには、認証費用5万円と謄本交付手数料1枚あたり250円が必要です。

資本金を払い込む

定款の認証後、出資金を銀行口座に振り込みます。振り込み後は、通帳の表紙、裏表紙(口座の名義や番号が書かれているページ)、出資金の入金が記帳されたページのコピーを取って資本金が振り込まれたことを証明する「払込証明書」を作成し、法人実印を押印します。このとき、捨印を押しておくと、書類に誤りがあったときに修正が可能です(捨印がないと訂正できないため、書類を作り直すことになります)。会社名義の銀行口座は、会社設立後でなければ開設できませんので、出資金は発起人の個人口座に振り込むことになります。

また、不動産や自動車などの現物出資を行う場合には、その現物に対して「〇〇〇等を出資し、会社の所有とする」旨を定款に記載した上で、「財産引継書」や現物出資の「調査報告書」といった書類を作成してから登記申請を行います。

登記の手順

会社設立する際の登記申請は原則として代表取締役が行うものですが、その手続きは多岐にわたるため、司法書士などの専門家に任せることも視野に入れておくと良いでしょう。ご自身で行う場合は、次の手順に従ってください。

1. 登記必要書類・登記申請書を用意する

会社登記する際に必要な書類は、「設立登記申請書」や「定款」のほか、「登録免許税納付用台紙」「発起人決定書(発起人が複数の場合は発起人会議事録)」「代表取締役等の就任承諾書」「取締役の印鑑証明書」「印鑑届書」「出資金の払込証明書」となります。なお、設立登記申請書は様式が定められており、様式が異なったり、記載事項に不備があったりすると補正(訂正)となりますので注意しましょう。

2. 法務局へ登記申請する

本店所在地の管轄法務局に登記申請を行います。書類に不備がなければ、登記申請から7~10日程度で会社登記は完了となります。

法人登記に必要な書類

法人登記の際に必要な書類を詳しく見ていきます。

設立登記申請書

法務局の「商業・法人登記の申請書様式」からテンプレートをダウンロードできます。記載要項についてもサイト上で確認できますので、参考にしましょう。

定款(謄本)

定款の謄本を1部用意します。

登録免許税納付用台紙

登録免許税納付用台紙は、A4サイズの台紙で登録免許税分の収入印紙を貼り付けます。株式会社の登録免許税は「資本金額×0.7%」となり、計算式により算出される金額が15万円未満の場合は、登記申請1件につき15万円です。収入印紙を台紙の中心に貼り付けて提出します。

発起人決定書(発起人議事録)

発起人決定書とは、会社の発起人が商号や目的、本店の場所など決定したことを記載した書面のことです。
例えば、定款に記載する本店所在地について「最少行政区画(東京都千代田区など)」までしか定めていない場合は、番地までを含む詳細な住所を示すことになります。定款に本店所在地を詳細に記載していれば決定書に記載する必要はありません。
また、定款で「代表取締役を株主総会で選定する」と記載している場合は、この発起人の決定書に代表取締役の氏名を記載し、誰が代表取締役であるのかを明らかにする必要があります。

代表取締役の就任承諾書

代表取締役の就任承諾書は、代表取締役に就任することを承諾したと証明する書類のことです。取締役が1名だけであり、その取締役も代表取締役と兼務しているときには必要ありません。

取締役の就任承諾書

取締役の就任承諾書は、取締役への就任を承諾したことを証明する書類のことです。

監査役の就任承諾書

監査役の就任承諾書は、監査役に就任することを承諾したと証明する書類です。監査役を設置する場合に必要になります。

取締役の印鑑証明書

定款を作成し、認証を受けたときに取得した印鑑証明書と同じものです。取締役が複数の場合は全員分必要がありますが、取締役会を設置しているときは代表取締役のみになります。

印鑑届書

印鑑届書は、法人実印の届け出を行うための書類です。

出資金の払込証明書

出資金を払い込んだことを証明する書類です。出資金を払い込んだときに作成した銀行通帳の表紙、裏表紙、入金確認が分かるページのコピーに、「払込証明書」であることを記載した表紙(払込金の総額や設立時の発行株式数、日付や本店所在地、商号などを記入し、法人実印を押したもの)をつけて製本します。このとき、各ページに割印をしておきましょう。

登記すべき事項を記録・保存した記録媒体

申請書に記載する事項のうち、登記すべき事項については、申請書の記載に代えてCD-Rなどの記録媒体に記録・保存して提出できます。その場合、記録媒体が申請書の一部となるため、内容を別途印刷して添付する必要はありません。なお、記録媒体の規格や記載方法が細かく決められているので、法務局の「解説ページ」を事前に確認しましょう。

お得に法人登記をするには

会社が支払わないといけない税金のひとつに「法人住民税」があります。法人住民税は、法人税額に住民税率を乗じた「法人税割」と、法人の資本金別などで定額となっている「均等割」の2つがあります。
例えば、東京23区内に事業所があり資本金が1,000万円以下で従業員50人以下の場合、法人住民税の均等割は12ヵ月で7万円(1ヵ月あたり約6,000円)です。6月2日に会社を設立して期末を5月31日に設定したとすると、第一期は「12ヵ月-1日」となるため11ヵ月計算となり、第一期で支払う法人住民税が1ヵ月分(約6,000円)マイナスとなります。月初の1日を避ければ、わずかですがお得になります。

法人登記の申請方法

法人登記を申請する先は、会社の本店所在地を管轄する法務局(登記所)になります。管轄法務局が異なると受理されませんので、法務局の「管轄のご案内」ページから確認しましょう。

法人登記の申請するのに、必ずしも法務局に出向く必要はなく、郵送やオンラインで申請もできます。申請しやすい方法を選んで登記申請を行いましょう。

法務局に直接申請

管轄法務局の窓口に会社登記(法人登記)に必要な書類とデータ一式を提出する方法。内容に問題がなければ申請から約7〜10日で登記が完了し、法務局が申請を受け付けた日が会社設立日となります。法務局側から登記完了の連絡はありませんので注意しましょう。

ただ、提出書類に不備があった場合は、当該法務局の登記官から連絡がありますので、指定された期限内に指摘された箇所を補正(訂正)して再提出します。登記書類の提出時は職員にお願いをして、書類に不備がないか確認をしてもらいましょう。

郵送で申請

管轄法務局あてに記入した書類一式を郵送して登記申請する方法です。できれば確実に届いたことが分かる簡易書留や特定記録などで送るようにしましょう。
法務局に書類が到着した日が会社設立日となりますが、設立日の希望がある場合は、配達日指定郵便を利用します。登記の完了は、法務局へ直接申請する場合と同じく7〜10日後となり、登記完了の連絡はありません。申請書類に不備があった場合は、法務局に直接再提出するか、郵送で補正(訂正)することができます。

オンラインで申請

法務局が用意している登記・供託オンライン申請システム「登記ねっと 供託ねっと」から、オンラインで登記ができます。インターネット上でやりとりが完結するため便利です。
ただ、専用ソフトをダウンロードして申請する必要があります。また、オンライン登記には申請人による電子署名が必要となるため、電子証明書も取得しておく必要です(電子定款を作成しておけば必要ありません)。
申請書類に不備があった場合の補正(訂正)は、専用ソフト上で行うことができます。

法人登記完了後に行うこと

法人登記が無事完了しても、やるべきことがあります。「登記事項証明書(登記簿謄本)」と「印鑑証明書」の取得です。
法人口座開設や税務署へ各種届け出をするときに、登記事項証明書(登記簿謄本)が必要となります。登記事項証明書を取得するには、法務局に出向くほか、郵送やオンラインでもできます。
また、担保の設定や諸契約を行う際に、印鑑証明書を求められることも。登記時に取得した印鑑証明書は発起人個人のものなので、法人の印鑑証明書は会社設立後に取得します。
会社設立直後は、登記事項証明書と印鑑証明書を使う機会が多いので、どちらも複数取得しておくのがおすすめです。

法人は、法律によって社会保険に加入することが義務付けられているので、社会保険事務所への届け出も忘れないようにしましょう。

登記事項に変更が生じたとき

登記されている事項に変更が発生したときは、必ず登記内容を変更する手続きをする必要があり、「変更登記」といいます。

変更登記は、会社の名称が変わったときや本店所在地を移転したときはもちろん、代表取締役の住所や事業目的の変更、新規事業を始めたとき、任期満了などにより取締役や監査役を変更したときに行います。変更時は、管轄法務局へ変更の申請書を持っていく方法のほか、郵送やオンラインでも可能です。

変更登記の期限は、変更から2週間以内と定められています(期限を過ぎても変更登記は受理されます)。ただし、期限内に変更登記をしなかった場合は、会社の代表者に対し100万円以下の罰金(過料)が科せられる可能性があるので十分に注意しましょう。

最後に法人登記をしてから12年間(株式会社の場合。一般社団法人や一般財団法人は5年間)変更登記がない場合は、会社(法人)が事業を廃止していない届け出をするよう官報に公告が出された後、解散したとみなされることになります。現行の会社法では役員、監査役ともに任期は(選任後)10年とされているため、12年以内には変更登記があることを想定しているからです。そのため、長期間にわたり変更登記がない場合、会社は解散して法人としては消滅することになります。

法人登記にはすべきことがたくさんありますが、どれも会社設立に必要なことです。
用意する書類などは多いものの、それぞれの記述は意外と容易なので、順を追って1つずつクリアしていきましょう。

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