個人事業主が入る保険とリスクに備える保険
公開日:2018年05月28日
最終更新日:2018年05月28日
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個人事業主は自分のペースで仕事ができる反面、自己責任を求められるので社会保障が手厚くありません。
強制加入の保険だけでは保障が不十分となれば、任意で民間保険などを活用します。公的な保険の内容をよく踏まえたうえで、任意の保険でどう補うのかを考えましょう。
目次
個人事業主が入る保険の種類と違い
個人事業主は、基本的に国民健康保険と国民年金に加入します。
なお当てはまらないケース有るので確認しておきましょう。
任意継続保険
退職後任意継続の手続きをすると、2年間国民健康保険に替えて任意継続保険に加入できます。
扶養扱い
配偶者が会社員として社会保険に加入。所得が130万円以下など要件を満たすと、扶養者扱いとなり保険料の支払いが発生しません。
3親等内親族
国民年金の支払いは生じますが、健康保険は扶養となること可能です。
会社員の健康保険や厚生年金とは異なります。また介護保険に関しては、40歳以上で加入となります。
また、個人事業主は雇用保険に加入できません。労災保険に関しても、建設業者(一人親方)など限られた危険業種を営んでいる場合のみ加入可能です。
会社員との保険料の違い
会社員が負担する社会保険料は給与に比例します。国民年金は定額16,490円/月(平成29年度)です。
国民健康保険は保険料率が自治体ごとに異なります。固定資産税の金額を基に、保険料を算出する自治体もありますが、所得によるところが多いです。
個人事業主は青白申告をあらかじめ届出て、65万円の特別控除を活用すると保険料を引き下げることができます。
会社員との保障内容の違い
大きく4点あります。
一つ目として国民健康保険加入者は、傷病手当や労災給付はありません。労災では全額保証される医療費も、国民健康保険で自己負担します。
二つ目として老後・死亡・障害の際に支給される年金に基礎年金と厚生年金があり、加入期間に比例して金額が変わります。
会社員で厚生年金に加入していた期間に対しては両方支給されますが、個人事業主の期間は厚生年金未加入なので、定年まで会社員として働いた場合より金額が減ります。
三つ目として国民健康保険加入者は、出産・育児・介護の際、出産手当金・育児休業給付金・介護休業給付金は支給されません。
四つ目として失業(廃業)した際、個人事業主は雇用保険には加入できないので、失業給付はありません。
なぜこのような違いがあるのかというと、個人事業主が得ているのは給与ではなく、事業所得だからということを理解しましょう。
個人事業主のリスクに備える保険
保障内容の違いであげた問題点をカバーできる保険を見ていきます。
傷病手当や労災給付
・医療保険やがん保険
入院給付日額や手術給付金を決めて契約。終身型や期間を決めて契約するものがあります。
・傷害保険
ケガや不慮の事故によって生じる医療費に供える保険。労災補償がないので、検討しましょう。
事故以外、病気の場合は対象外となりますが、通院給付金の保障があり、保険料は年齢や健康状態に左右されません。
・所得補償保険・就業不能保険
病気やケガなどで事業ができなくなった時に給付される保険です。所得をベースに定額でもらえるように契約。
フリーランスは障害年金の支給額や支給要件が会社員に比べ厳しいのが現状。障害年金をカバーするものとして考えます。
年金
・生命保険の個人年金保険
将来受け取る金額や支給期間を決めて契約。
・死亡保険
個人事業主が死亡した場合、遺族にはなにもありません。死亡保険は通常一時金として一括で給付されますが、年金形式でもらえるものもあります。
老後の年金に関して国の制度は次のとおりです。
・付加年金
国民年金に月400円上乗せすることで、年間の基礎年金が200円×納付月数プラスして支給されます。
・国民年金基金
個人年金のように将来の給付額や給付期間を決めますが、全額所得控除となるため税金対策では有利です。
・個人型確定拠出年金
掛け金を自分自身で決めて投資。成果に応じて年金額は変動しますが、国民年金と同様に全額所得控除となります。
出産手当金や失業給付など
現状では存在しませんが、今後販売される予定です。失業給付については、小規模企業共済が当てはまるといえます。本来は個人事業主の退職金が目的です。
平成29年3月に政府からフリーランスの団体保険創設を提言すると報道がありました。具体的には損害保険会社が販売し、所得補償保険の拡充版が予定されています。
まとめ
会社員との保障内容の違いとして4つの違いがあり、個人事業主が得ているのは給与ではなく、事業所得だからということを理解しましょう。